建築計画学研究室

伝統民家を活用した高齢者福祉施設の改修設計

本研究室では、「定期借家方式による民家再生システム」を提案しており、このシステムを適用した契約書の作成アドバイスと改修基本計画の策定及び基本設計を行いました。

 

本事例は山口市の中心市街地に立地する敷地面積1563㎡、延床面積228㎡の木造平屋建ての別荘建築で、空き家所有者から10年間の定期借家契約が締結されています。

 

施設へのアプローチ動線は、スロープを設置する必要があるため、既存トイレを撤去して、玄関を新設しました。

 

北棟続き間を板張りの「食堂」として改修しました。冬季の寒さが予想されるため、温水式床暖房を敷設しています。

 

高齢者の居場所として、面積が広く日照条件と南北の庭園の眺望に恵まれた続き間座敷を居間(機能訓練室)としました。畳廊下では庭園を眺めながらの「ひなたぼっこ」など、民家の雰囲気を楽しむ様子が見れます。

 

耐震補強箇所を図に示します。南棟続き間は南・東側が庭に面し開口部が設けられ、壁配置がアンバランスで偏心率が大きいものの、新たに壁を設けることが困難なため、6畳和室と北側廊下間の既存壁上部の梁までの延長による補強を行いました(写真上)。桁行方は玄関の間と4畳半和室の通路部分に半間幅の落とし込み二重板壁を新設ました(写真左下)。また全面改修となる既存浴室・洗面室部分では、車椅子用トイレと脱衣室間に新設される間仕切壁を落とし込み二重板壁としました(写真右下)。

このような広い面積を有す伝統民家は、建具を撤去することによる空間の開放性もあいまって、多機能型の福祉施設への用途変更に適した建築として位置づけることができます。